ホロー荘の殺人
The Hollow

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“エルキュール・ポアロ”シリーズの長編22作目。
1946年11月、Collins社から刊行された。 米国では1946年、Collier's Weekly (4 May ~ 25 May 1946)に簡略版が「The Outraged Heart」のタイトルで連載された後、同年Dodd, Mead社から「The Hollow」のタイトルで刊行された。 ペーパーバック版(DELL社)では「Murder after Hours」のタイトルが用いられた。
日本語初訳は1954年の『ホローの殺人』(妹尾アキ夫訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ)。

早川書房

(日本語版翻訳権独占)
1954
ホロー館の殺人
妹尾アキ夫訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(121)
アガサ・クリスティーはイングランド中最も風光明媚の地デーヴォン州トーケイに生れた。 幼い頃から小説を書くことに興味を持っていた彼女は1920年処女作『スタイルスの怪事件』を発表、好評を博したので続いて探偵小説を発表し現在でも老いてますます冴えをみせている英探偵小説界のヴェテランである。 1944年の『殺人準備完了』あたりから、クリスティ一の作風に大きな変化が生じてきたように思われる。 犯罪以前の描写が非常に長くなり、“出発点の不可思議性”は無視され、関係者一人一人の訊問のかわりにメロドラマが入ってきているのである。 その後の『忘られぬ死』(ポケット・ミステリ既刊)にしても1946年の本書『ホロー館の殺人』にしてもこの傾向が強く出ている。 一口に云えば、気のきいたドラマと、トリックの驚異の組合せだが、それが極めて巧みに行われている。 クリスティーとしては必然の発展をとげて、この境地に達した というごく自然な感じをうける。 江戸川 亂步

解説:江戸川乱歩「増訂クリスティー作品目録」
1977
ホロー荘の殺人
中村能三訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-28) ISBN:9784150700287
アンカテル卿の午餐に招かれホロー荘に来たポアロは少なからず不快になった。邸の庭にあるプールの端に一人の男が血を流して死んでおり、傍らにはピストルを手にした女が虚ろな表情で立っていたのだ……いくら彼が探偵とはいえ、こんな歓迎の仕方は見当違いのユーモアのセンスというものだ!ポアロはいささかうんざりした。しかし…死体は本物だった。殺されていたのは、やはり午餐に招かれたジョンという医師で女はその妻だった。果して、これは殺人なのか?ホロー荘に集った人々の心理葛藤のなかに真相を読むポアロ。
解説:中村能三「読者への二回目の挑戦」
表紙:真鍋博

1985年
映画タイアップ表紙

登場人物
ヘンリー・アンカテル卿行政官。ホロー荘主人
ルーシー・アンカテルヘンリーの妻
ミッジ・ハードカスルホロー荘の客。ルーシーの従姉妹
ヘンリエッタ・サヴァナクホロー荘の客。芸術家
エドワード・アンカテルホロー荘の客。エインズウィックの相続人
デイヴィッド・アンカテルホロー荘の客。学校を出たばかりの青年
ジョン・クリストウホロー荘の客。医者
ガーダ・クリストウホロー荘の客。ジョンの妻
エルシー・パターソンガーダの姉
ヴェロニカ・クレイ映画女優
ガジョン執事
シモンズ女中
グレンジ警部
エルキュール・ポアロ私立探偵
2003
ホロー荘の殺人
中村能三訳 早川書房 クリスティー文庫(22) ISBN:9784151300226
アンカテル卿の午餐に招かれたポアロは、少なからず不快になった。邸のプールの端で一人の男が血を流し、傍らにピストルを手にした女が虚ろな表情で立っていたのだ。が、それは風変わりな歓迎の芝居でもゲームでもなく、本物の殺人事件だった!恋愛真理の奥底に踏み込みながら、ポアロは創造的な犯人に挑む。
解説:はやみねかおる「灰色の脳細胞は、赤い夢を見るか?」

映像化

テレビドラマ
La tana
1980年 イタリア |La tana (1980) on IMDb
監督・脚本:Raffaele Meloni
出演: Magda Mercataliティノ・ビアンキSarah Ferratiヴァレリア・チャンゴッティーニアントニオ・メスキーニカーロ・エンリーチフランコ・グラツィオージルチア・カトゥッロMarina Donadiエリカ・ブラン
映画
危険な女たち
1985年 松竹
監督:野村芳太郎 脚本:竹内銃一郎、古田求
出演: 石坂浩二(枇杷坂周平)大竹しのぶ(棚瀬紀子)池上季実子(藤井冴子)和由布子(水野美智子)藤真利子(津田淳子)小沢栄太郎(絹村健一郎)北林谷栄(絹村ハナ)寺尾聡(棚瀬秀雄)三田村邦彦(升森弘)夏八木勲(堂園)日色ともゑ加藤嘉


テレビドラマ
ホロー荘の殺人 The Hollow
2004年 英ITV 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT IX |The Hollow (2004) on IMDb
監督:サイモン・ラングトン 脚本:ニック・ディア
出演: デビッド・スーシェ(ポワロ)ジョナサン・ケイク(ジョン)メーガン・ドッズ(ヘンリエッタ)サラ・マイルズ(ルーシー)エドワード・フォックス(ガジョン)クレア・プライス(ガーダ)リゼット・アンソニー(ヴェロニカ)トム・ジョージソン(グレンジ警部)エドワード・ハードウィック(サー・ヘンリー)キャロライン・マーティン(ミッジ)ジェイミー・デ・カーシー(エドワード)イアン・タルボットアンジェラ・カランルーシー・ブライアーズデール・ラプリーテレサ・チャーチャー(エルシー)ハリエット・コボルド(シモンズ)

ホロー荘の殺人
デアゴスティーニ・ジャパン 「名探偵ポワロ DVDコレクション」第10号(2011)
名探偵ポワロは静かな週末を過ごすため、田舎へやってきた。すると、近くに住むアンカテル家の豪邸ホロー荘での食事に招待された。平穏に思えた日々は翌日、医師のジョン・クリストウがプールサイドで射殺された事件で一転。はたしてポワロは、殺人犯の正体をあばくことができるのだろうか。
■POIROT'S ERA ポワロのいた時代:「銃器と科学捜査」「ハウスパーティー」「ハンドルを握る女性たち」 /■STAR CAST 撮影の舞台裏 スター紹介:「サラ・マイルズ」ほか /■QUEEN OF CRIME ミステリーの女王:「アガサの恋愛」
映画
華麗なるアリバイ Le Grand alibi
2008年 フランス |The Great Alibi (2008) on IMDb
監督:パスカル・ボニゼール 脚本:パスカル・ボニゼール
出演: ミュウ=ミュウ(エリアーヌ・パジェス)ランベール・ウィルソン(ピエール・コリエ)ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ(エステル・バシュマン)ピエール・アルディティ(アンリ・パジェス)アンヌ・コンシニ(クレール・コリエ)マチュー・ドゥミ(フィリップ・レジェ)カテリーナ・ムリーノ(レア・マントヴァニ)モーリス・ベニシュー(グランジュ刑事)セリーヌ・サレット(マルト)アガット・ボニゼール(クロエ)ダニー・ブリヤン(ミシェル)エマニュエル・リヴァ(ジュヌヴィエーヴ・エルバン)ニコラス・コレツキー
テレビドラマ
The Hollow
2020年 イギリス |The Hollow (2020) on IMDb
監督:Chelsea Walker
出演: ローラ・ハドックサイモン・キャローリチャード・フリーシュマンアダム・ジェームズキャスリン・ドライスデールニーナ・ソサーニャジェームズ・ドレイファスアンジェラ・グリフィンニア・トールValentine OlukogaBeth Granville
テレビドラマ
Le vallon
2021年 France2 Les Petits Meurtres d'Agatha ChristieLe vallon (2021) on IMDb
監督:Alexandre Coffre
出演: アルチュール・デュポンエミリー・ガボイス・カーンChloé ChaudoyePierre CassignardAurélia Petitクエンティン・バイヨブノワ・モレChristèle TualEstébanニコラス・ランブラレスSaverio MalignoAlexandre Russoマリーヌ・ベルテオーRaphaëlle Cambrayトーマス・デバエンNanou HarryLéonie KerckaertXavier Memeteau

戯曲版

ホロー荘の殺人 The Hollow

初演:1928年5月15日 プリンス・オブ・ウェールズ・シアター(ロンドン)

第一幕
9月上旬の金曜日の午後
第二幕
第一場 土曜日の朝
第二場 同じ日の午後
第三幕
次の月曜日の朝
2010
ホロー荘の殺人
瀬戸川猛資訳 松坂晴恵補訳 『ミステリマガジン』2010年4月号(通巻650号)
【特集】秘密のアガサ・クリスティ
[短編:幻の未訳2編]「犬のボール」(羽田詩津子訳)、「ケルベロスの捕獲」(山本やよい訳)/ [戯曲]「ホロー荘の殺人」(瀬戸川猛資訳)/ [詩]「アガサ・クリスティの詩」(深町眞理子訳)/ [エッセイ]「こんなところにクリスティ」(若竹七海)、「クリスティに観劇」(新保博久)、「ト書きはさいなむ」(松坂晴恵)/ [対談]『アガサ・クリスティーの秘密ノート』ただいま翻訳中(羽田詩津子×山本やよい)/ [資料と研究]「クリスティーの知られざる後半生」(数藤康雄)、「クリスティー・トリビア・クイズ」ほか
登場人物
ヘンリエッタ・アンカテル
ヘンリー・アンカテル卿バス上級勲爵士
レディ・アンカテル(ルーシー)
ミッジ・ハーヴェイ
ガジョン
エドワード・アンカテル
ドリス
ガーダ・クリストウ
ジョン・クリストウ医師王立内科医協会会員
ヴェロニカ・クレイ
コフーン警部犯罪捜査部
ペニー部長刑事

国内上演

1993
ホロー荘の殺人

サンシャイン劇場 アガサ・クリスティー劇場TOKYO 1993
演出:栗山民也
出演:久野綾希子(ヘンリエッタ)、江原真二郎(アンカテル卿)、中原ひとみ(アンカテル夫人)、野口五郎(コフーン警部)、江藤潤、畠山久、春風ひとみ、大輝ゆう、二瓶鮫一、田代隆秀、重田千穂子、深浦加奈子
1995
ホロー荘の殺人

近鉄劇場 平岡企画
演出:井上恩
出演:中村玉緒(ヘンリエッタ)、入川保則(アンカテル卿)、季麗仙(アンカテル夫人)、名高達男(コフーン警部)
2007
ホロー館の人びと

日本橋劇場 演劇集団たつのおとしご会
演出:佐藤修
出演:森秋子(ヘンリエッタ)、桜井ひろ子(ガーダ)、佐藤せつお(カフーン警部)
2008
ホロー荘の殺人

俳優座劇場 T.H.E
演出:グレッグ・デール
出演:宮本裕子(ヘンリエッタ)、小山萌子(ガーダ)、三浦丘美子(ルーシー)、白井圭太(コルクーン警部)、池田有希子、志村要、仲恭司、藤川恵梨、平井智美、若尾哲平、香原俊彦
2010
ホロー荘の殺人

東部フレンドホール 劇団フーダニット
演出:松坂晴恵
出演: 円城寺ソラ(エドワード・アンカテル)、 思井奈都子(ガーダ・クリストウ)、 甲斐あやか(ミッジ・ハーヴェイ)、 川崎拓己(ジョン・クリストウ)、 さつまいも(ヴェロニカ・クレイ)、 橘沙織(ヘンリエッタ・アンカテル)、 沼田佳男(ペニー刑事)、 馬場貴海(ガジョン)、 松坂晴恵(レディ・アンカテル)、 宮下めぐみ(ドリス)、 渡邉みつる(コフーン警部)、 渡辺幸枝(マダム)、 加藤友美(ヴェラ)、 真田五郎(ヘンリー・アンカテル卿)
2023
ホロー荘の殺人

三越劇場 ノサカラボ
演出:野坂実
出演: 凰稀かなめ(ヘンリエッタ・アンカテル)、 紅ゆずる(ガーダ・クリストゥ)、 林翔太(エドワード・アンカテル)、 高柳明音(ミッジ・ハーヴェイ)、 旺なつき(ルーシー・アンカテル令夫人)、 綾凰華(ヴェロニカ・クレイ)、 佐々木梅治(ガジョン)、 河相我聞(ジョン・クリストゥ医師)、 細見大輔(コフーン警部)、 松村優(ペニー刑事)、 中尾隆聖(ヘンリー・アンカテル)、 長沢美樹(マダム:声の出演)

講演パンフレット