もの言えぬ証人
Dumb Witness

英語版・世界の表紙ギャラリーはこちらをクリック

“エルキュール・ポアロ”シリーズの長編14作目。
1937年、Women's Pictorial (20 February ~ 3 April 1937)に「Mystery of Littlegreen House」のタイトルで簡略版が連載された後、同年7月にCollins社から刊行された。 米国では1936年、The Saturday Evening Post (7 November ~ 19 December 1936)に「Poirot Loses a Client」のタイトルで連載された後、1937年Dodd, Mead社から同タイトルで刊行されている。
日本語初訳は1957年の『もの言えぬ証人』(加島祥造訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ)。

早川書房

(日本語版翻訳権独占)
1957
もの言えぬ証人
加島祥造訳 早川書房 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(312)
エミリイ・アランデルは五月一日に死んだ。 病気になって、死ぬまで、ほんの数日だったが、その町マーケットペイシングの人々はさほど驚きもしなかった。 エミリイはもう七十をとうに越してしまったオールドミスだったし、長いあいだ病気がちで、実際、一年半ほど前にも、同じ病気で危うく死にかけたことがあったくらいだったから。 ただ、街の人人を驚かせたのは、彼女の遺言状の内容だった。 巨額の財産の全部が、大勢いる甥や姪をさしおいて、一介のつきそい婦、ミスロウスンの手に渡ったのだ……。 エミリイの死からちょうど二ヵ月後の六月もおしせまったある日、わがエルキュール・ポアロは、一通の手紙を受けとったのだった。 手紙はエミリイのものだった。 しかもそれは、彼女の死の半月以上前に書かれた手紙なのだ! ポアロはヘイスティングズをせきたててマーケットベイシングへ赴いた。 それとない調査の進むごとにポアロの発見したことは、関係者のほとんどがそれぞれ嘘をついていたことだった。 そして難事件の解決に苦吟するポアロをじっと見守っているのは、一匹の白いワイア・ヘア・テリアだった……。
1 小緑荘の女主人/ 2 親縁者/ 3 不慮の災難/ 4 ミス・アランデル手紙を書く/ 5 エルキュール・ポアロ手紙を受け取る/ 6 我等小緑荘に行く/ 7 ジョージ亭で昼食/ 8 小緑荘の内部/ 9 ポアロ、犬のボール事件を論ず/ 10 ミス・ピーボデイを訪問/ 11 トリップ姉妹を訪問/ 12 ポアロ、事件を論ず/ 13 テレザ・アランデル/ 14 チャールズ・アランデル/ 15 ミス・ロウスン/ 16 ミセス・タニオス/ 17 ドクター・タニオス/ 18 隠れた殺人者/ 19 パーヴィス氏を訪ねる/ 20 二度目の小緑荘訪問/ 21 薬剤師、看護婦、医師/ 22 階段上の女/ 23 ドクター・タニオスの来訪/ 24 テレザの否認/ 25 わたしの推理/ 26 ミセス・タニオス話を拒む/ 27 ドクター・ドナルドスンの訪問/ 28 新しい犠牲者/ 29 小緑荘での審判/ 30 終りに一言
1977
もの言えぬ証人
加島祥造訳 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫(HM1-20) ISBN:9784150700201
70歳を越した老嬢エミリイが死んで、巨額の遺産の全部が、大勢の親族をさしおき、一介の家政婦に贈られた。彼女の死からニヵ月ほどたったある日、一通の手紙がエルキュール・ポアロのもとに届いた。差出人はエミリイ。彼女の死の半月以上も前に書かれたものだった。しかもそこには、彼女自身がやがて殺されることを予感するかのような内容が…。老嬢の死と手紙との不思議な暗合に興味を抱いたポアロは、調査に乗り出したが関係者は虚偽の証言しかしない。難事件に苦吟するポアロ。彼を見つめる、もの言えぬ証人、白いテリアの秘密とは?
1. 小緑荘の女主人/ 2. 親戚縁者/ 3. 不慮の災難/ 4. ミス・アランデル、手紙を書く/ 5. エルキュール・ポアロ、手紙を受け取る/ 6. われら、小緑荘に行く/ 7. ジョージ亭で昼食/ 8. 小緑荘の内部/ 9. ポアロ、犬のボール事件を論ず/ 10. ミス・ピーボディを訪問/ 11. トリップ姉妹を訪問/ 12. ポアロ、事件を論ず/ 13. テリーザ・アランデル/ 14. チャールズ・アランデル/ 15. ミス・ロウスン/ 16. ミセス・タニオス/ 17. ドクター・タニオス/ 18. 隠れた殺人者/ 19. パーヴィス氏を訪ねる/ 20. 二度目の小緑荘訪問/ 21. 薬剤師、看護婦、医師/ 22. 階段上の女/ 23. ドクター・タニオスの来訪/ 24. テリーザの否認/ 25. わたしの推理/ 26. ミセス・タニオス、話を拒む/ 27. ドクター・ドナルドスンの訪問/ 28. 新しい犠牲者/ 29. 小緑荘での審判/ 30. 終りにひと言
表紙:真鍋博
登場人物
エミリイ・ハリエット・アランデルマーケット・ベイシング、小緑荘主人
ウィルヘルミナ(ミニー)・ロウスン小緑荘家政婦
チャールズ・アランデルエミリイの甥。テリーザの兄
テリーザ・アランデルエミリイの姪。チャールズの妹
ベラ・タニオスエミリイの姪
ジェイコブ・タニオスベラの夫。ギリシャ人の医者
レックス・ドナルドスンテリーザの恋人。医者
キャロライン・ピーボディエミリイの古い友人
ジュリア・トリップ霊媒。
イザベル・トリップ霊媒。ジュリアの妹
ウィリアム・パーヴィスエミリイの顧問弁護士
グレインジャーエミリイの友人。医者
ヘイスティングズポアロの友人
エルキュール・ポアロ私立探偵
2003
もの言えぬ証人
加島祥造訳 早川書房 クリスティー文庫(14) ISBN:9784151300141
ポアロは巨額の財産をもつ老婦人エミリから命の危険を訴える手紙を受け取った。だが、それは一介の付添い婦に財産を残すという問題のある遺言状を残して、彼女が死んだ二カ月後のことだった。ポアロとヘイスティングズは、死者からの依頼に応えるとともに、事件に絡む愛すべきテリア“ボブ”の濡れ衣も晴らす。
解説:直井明(ミステリ評論家)

映像化

テレビドラマ
もの言えぬ証人 Dumb Witness
1997年 英ITV 「名探偵ポワロ」Agatha Christie's POIROT VI |Dumb Witness (1996) on IMDb
監督:エドワード・ベネット 脚本:ダグラス・ワトキンソン
出演: デビッド・スーシェ(ポワロ)ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス)アン・モリッシュ(エミリー・アランデル)パトリック・ライカート(チャールス・アランデル)ケイト・バファリー(テリーザ・アランデル)ポール・ハーツバーグ(ジェイコブ・タニオス)ジュリア・セント・ジョン(ベラ・タニオス)ノーマ・ウェスト(ウィルミーナ)ジョナサン・ニュース(グレインジャー)ポーリン・ジェームソン(イザベル・トリップ)ミュリエル・パブロー(ジュリア・トリップ)パット・オトゥールジェフリー・フレッシュウォータージェスティン・フィリップストビアス・サンダースレイラ・ハリソンステファン・トムリンティム・ウィリアムズ

もの言えぬ証人
デアゴスティーニ・ジャパン 「名探偵ポワロ DVDコレクション」第7号(2011)
湖水地方にやってきた名探偵ポワロとヘイスティングスは、ヘイスティングスの友人チャールズの水上スピードボートを見学する。ところが彼はボート事故に遭い、その後彼のおばエミリーは謎の死を遂げる。遺産を狙った謀殺の行方に、『もの言えぬ証人』愛犬ボブの見た犯人は一体誰か……。
■POIROT'S ERA ポワロのいた時代:「恐るべきスピード」「湖水地方」「死者との会話」 /■STAR CAST 撮影の舞台裏 スター紹介:「ポーリーン・モラン」 気配りのきくポワロの秘書、ミス・レモンを演じる。 /■QUEEN OF CRIME ミステリーの女王:「フランスでの冒険」
テレビドラマ
もの言えぬ証人 Témoin Muet
2013年 France2 「アガサ・クリスティーの謎解きゲーム」Les Petits Meurtres d'Agatha Christie |Témoin muet (2013) on IMDb
監督:マルク・アンジェロ 脚本:シルヴィー・シモン、ティエリー・ドブルー
出演: サミュエル・ラバルト(ロランス警視)ブランディーヌ・ベラヴォア(アリス)フランソワーズ・ファビアン(アレクシナ)ナタリー・リシャールイザベル・デ・ハルトグヴィンセント・シュミットAnne Azoulayオリヴィエ・シャントロージャクリーヌ・ビル(エミリー)エロディ・フランクドミニク・トマ(トリカール警視正)フランソワ・ゴダールトーマス・バエルデAlexie RibesCamille RicheuxJack ClaudanyBernard DebreyneEric Beauchamp